Z世代とイケメン
井原康太郎氏
(主婦と生活社・JUNON副編集長 /
ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト 統括プロデューサー)
『JUNON』の Mission(存在意義)と Vision(目指す姿)
Z世代は10代後半から25歳程度と定義されますが、これは読者の平均年齢が17.8歳である『JUNON』のユーザー層と合致します。その『JUNON』がZ世代とコミュニケーションをとる際に、Missionとして掲げているのは「すべてのイケメンに、光を」です。ここでいう“イケメン”とは何か。それは「あなたの推し」です。外見至上主義ではなく、あくまで「あなたが人生を捧げて応援したいと思う、あなたにとっての推し」を“イケメン”として、誌面等で取り上げて、応援することが基本姿勢です。
そして、Visionは、「あなたの推しが、JUNONも大好きです」という姿勢。“イケメン”を追いかけてきた『JUNON』が、「あなたの推しが大好きだよ」と寄り添い、一緒になって応援するという姿勢は、消費者との関係において深く刻まれます。また、Z世代が「推し」に求めているものは、等身大の身近な存在です。今は、あこがれや偶像性よりも、実際に会えたり、SNSにおいて身近な存在であることが“イケメン”には求められているような気がします。
Z世代×イケメンの購買行動・ライフスタイル
Z世代の特徴的な行動を、購買・ワード・SNSで紐解いてみます。(参考文献/『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』原田曜平 著) 購買では、ファンが自発的に購買行動を起こす「推し消費」、商品やサービスの内容を事前に調べたり、確認する「ネタバレ消費」、公共広告枠を自ら購入して、推しを宣伝する「応援広告」、そして、推しの素晴らしさを周囲の人に知ってもらうために、商品を複数購入するなどの「推し活消費」、これらがZ世代の特徴的な購買行動です。
次にワードですが、Z世代がよく使うワードには「推ししか勝たん」「~沼」「古参」などがあります。これらに通底するのは、「自分はこの推しを昔から応援しており、私がこの男の子を育てた」というような、他者に対するマウントや承認欲求が垣間見えます。
最後にSNSですが、Twitterにおいてはプライベートアカウント以外に、推しを布教するためのアイドルアカウントを、Z世代は23.6%も所有しています。Instagramでは、メインの機能は「インスタライブ」「ストーリーズ」などの動画やライブ配信で、Z世代のライフスタイルが動画に移行していることを窺えます。そして、世界最強のSNSと言われて久しいTikTokは、Z世代にとってはもはや日常となっています。これらを踏まえて推し界隈の傾向を分析すると、まず、「推し承認欲求」があります。これは、自身の承認欲求ではなく、「私が一番好きな推しを世間に広めたい、認めてもらいたい」というものです。次に、「ムービージェニック」です。Z世代はとにかく動画映えを意識します。『JUNON TV』を公式動画メディアと呼称したのも、これからは動画一強であることを意識しているためです。
マーケターが今、求められる姿勢は?
Z世代にどう向き合うべきか。それは、Z世代を「ターゲットとして捉えない」ことだと感じています。この世代は、大人が介在していることを機敏に察知し、ビジネスの匂いを感じ取ると敬遠する傾向があります。イベントの運営が叩かれることも、この風潮が原因だと思います。単に迎合する「for Z世代」ではなく、みんなで一緒に何かを作る「with Z世代」という感覚が非常に重要です。
『JUNON』のValue(行動規範)
Z世代を紐解くキーワードは、「共感」と「共創」だと考えています。『JUNON』では、編集者個人の目線を意識し、中の人感を出した推し企画や、コアファンが多い声優・芸人・スポーツ選手などの異分野の方を取り上げることで、読者の共感を得ています。また、共創の最たる例は、「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」。参加するお客自身が選ぶものであり、候補者自身が成長していく場でもあるなど、一緒に創りあげていくという意識を大事にしています。
最後に『JUNON』がValueとして持っているものは何か? それは「共感×トキメキ×共創」です。「すべてのイケメンに、光を」というMission、「あなたの推しが、JUNONも大好きです」というVision。そして、これらを意識しながら、我々が社会に価値を提供できるもの、それは「トキメキ」です。このことを心に刻みながら、「共感」「共創」「トキメキ」を大事なValueとして捉えていきたいと考えています。
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