2026年7月8日、新潮社『ニコラ』『ニコ☆プチ』の若狭統括編集長、プレジデント社『プレジデント』の星野編集長を迎え、広告主会員を対象に「雑誌編集長との交流会」(日本アドバタイザーズ協会共催)を開催しました。講演では、読者に寄り添う編集や雑誌ならではの価値について語られ、懇親会では出版社と広告主の交流が深まりました。
新垣結衣、川口春奈も出身!
創刊30周年を迎える『ニコラ』『ニコ☆プチ』が未来の消費世代を惹きつける理由

新潮社
ニコラ・ニコ☆プチ統括編集長
若狭 夢莉香 氏
『ニコラ』は1997年の創刊以来、累計2000万人以上のティーンに寄り添い続け、来年30周年を迎えます。大きな強みは「ニコラモデル」の存在で、新垣結衣さん、川口春奈さんなど多くの著名人を輩出してきました。現在も松尾そのまさん、稲垣来泉さん、野澤しおりさんらが活躍し、『ニコラ』発のアイドルユニット「リコリリ」も活動の幅を広げています。編集部では、読者やモデルのリアルな声を基に、中学生の価値観やトレンドを捉え、誌面やSNSで発信しています。近年は、Vlog作成アプリ「setlog」、平成カルチャーブームの「平成女児」、趣味をSNSで発信する「ホビ活・ホビ垢」などが注目されており、その背景にあるティーンの価値観を理解し、コンテンツづくりに活かしています。
姉妹誌の『ニコ☆プチ』は2006年に創刊し、今年9月に20周年を迎えます。日本初の小学生向けファッション誌として、飯豊まりえさん、永野芽郁さん、生見愛瑠さん、横浜流星さんらを輩出してきました。スナップ撮影やランウェイ体験ができる「スペシャルコーディネイト選手権」や、ユニフォームをおしゃれに楽しむ「ユニコーデ」など、読者自身が主役になれるイベントにも力を入れています。また、ハイブランド特集など、親子で楽しみながら、読者の憧れやファッションへの関心を育む企画も特徴です。
『ニコラ』『ニコ☆プチ』における企業とのタイアップは、アパレルやコスメに限らず、介護、建設、環境分野など幅広い業界に広がっています。少子化が進む中、企業にとって将来のファンづくりや若年層との最初の接点づくりは重要です。私たちは、長年にわたりティーンのインサイトを捉えてきた経験を活かし、社会課題や専門性の高いテーマも、読者が興味を持ち、「自分ごと」として受け止められるコンテンツづくりを心がけています。
例えば、SOMPOホールディングス様とは介護現場でのAI活用、大成建設様とは脱炭素技術、サントリーホールディングス様とは次世代に水の大切さを伝える「水育(みずいく)」をテーマに、モデルによる体験取材やクイズ形式の動画で、ティーンにも分かりやすく発信しました。
また、企業のファンづくりにおいては、ロート製薬様と10年以上にわたり、人気モデルを起用した「ロートプリンセス」を通じて、スキンケアや目薬などティーン向け商品の認知と親近感を高めてきました。花王様とは、「ビオレ」や「ロリエ」の取り組みを通じ、ティーンが初めて商品を選ぶ「ファーストタッチ」を大切にしながら、誌面・イベント・SNS・TikTokドラマなどを組み合わせた立体的な展開を行いました。近年はファーストタッチの低年齢化が進んでおり、『ニコ☆プチ』でも、小学生向けスキンケアやコスメのタイアップが増え、親子の商品選びを支えています。
さらに、読者会員組織「ガールズラボ」では、アンケートやグループインタビューを実施し、マーケティングや商品開発に読者のリアルな声を活かしています。しなこさんプロデュースのプリクラ機開発では、小学生親子へのインタビューと専属モデルとのプリ撮影体験を組み合わせ、読者・企業双方にとって有意義な場となりました。このほか、メガネトップ様とのスクールメガネ、フリュー様とのモデルシミュレーションゲーム、エンジェルハート様とのティーン向けフレグランスなど、コラボ商品も展開しています。
ライセンス事業では、「ニコ☆プチスクール」ブランドによる学用品や雨具、自転車などを商品化しています。また、読者投票から生まれた公式キャラクター「にこらび」は、ディッパーダン様(クレープ)やバースデイ様(小学生向け新学期グッズ)とのコラボ企画で活用されています。
『ニコラ』『ニコ☆プチ』は、未来の消費の主役となるα世代と強くつながるメディアです。これからも広告タイアップの枠を超え、商品開発からマーケティングまでをトータルでサポートし、企業の皆様と共に次世代のトレンドをつくっていきます。
「人を編集する」というビジネス誌
―63年続く編集方針のこれから

プレジデント社
プレジデント編集長
星野 貴彦 氏
『プレジデント』の特徴は、大特集主義です。多くの雑誌が一冊に複数の特集を掲載するのに対し、『プレジデント』は一つのテーマにページを大きく割き、徹底的に掘り下げます。また、「仕事」「お金」「自己啓発」「健康」「生き方」など幅広い領域を一冊でカバーし、読者の多様な関心に応えています。このような誌面づくりの背景には、長年大切にしてきたミッションと原点があります。
『プレジデント』のミッションは「ビジネスリーダーの問題解決」です。ビジネスリーダーが抱える課題は多岐にわたるため、一つの分野に限定することなく、幅広いテーマを扱うことで読者の課題解決を支えています。
そして、その原点にあるのが「人間は人間に一番興味がある」という理念です。1963年に経営者向け雑誌として創刊した『プレジデント』は、1977年にこの理念を掲げ、人間そのものを描く雑誌へと大きく方向転換しました。以来、どんなテーマであっても一貫して「人」を通して描き続けています。
『プレジデント』には「記者」はおらず、いるのは「編集者」です。記者が新しい事実やスクープを追い求めるのに対し、編集者は読者の代理人として、「何が面白いのか」「読者は何を知りたいのか」を深掘りします。社会の木鐸を目指すというよりは、読者の視点に立ち、膝を打つような価値を見つけ出すことこそが編集者の役割だと考えています。
編集とは「文脈の翻訳」です。専門性の高い“to B”の情報を、そのまま伝えるのではなく、“to C”である読者の視点に置き換え、「ここが面白い」「ここが大事だ」と感じてもらえる形で届ける。その編集力こそが、『プレジデント』の強みです。毎号を手元に保存し、繰り返し読んでくださる読者が多いことも、編集によって生み出された価値が支持されている証しだと考えています。
こうした編集の考え方は、雑誌とウェブのいずれの媒体でも変わることなく活かされています。私はよく、「雑誌は高級フレンチレストラン、ウェブは巨大フードコート」と例えています。レストランでは店のコンセプトを見て予約し、前菜からメイン、デザートまで一通り味わいます。雑誌も同様に、表紙を見て購入し、基本的に一冊を通して読まれる媒体です。
一方、ウェブは手軽に必要な情報を得られる反面、読者がどの記事を選ぶかによって、メディア全体の印象が左右される難しさもあります。そこで重要になるのが、「どのような問いを立て、どのような切り口で届けるか」です。同じ情報を扱っても、切り口や伝え方によって読者の反応は大きく変わります。読者の視点に立ち、情報の中から本質的な価値を見つけ出して届ける編集力は、『プレジデントオンライン』においても変わることなく発揮されています。
雑誌を取り巻く環境は厳しさを増していますが、『プレジデント』は今なお、書店で多くの読者に選ばれ続けています。例えば、2026年1月16日号の特集「人生を変える『捨てる』習慣」はほぼ完売となりました。「金利上昇」のような経済テーマから、「捨てる」という人生観に関わるテーマまで幅広く展開できる柔軟なテーマ設定と、読者の視点から価値を見出す編集力が、本誌とオンラインの双方を支える『プレジデント』ならではの強みとなっています。
AI時代においても、『プレジデント』が向き合う本質は変わりません。AIは与えられた情報から答えを導き出すことはできますが、「なぜ生きるのか」「どうすれば幸せになれるのか」といった問いを、自分自身の問題として抱えることはできません。そうした問いに向き合えるのは人間だけです。『プレジデント』が向き合うのも、まさにそうした人間ならではの問いであり、ビジネスリーダーの問題解決も、突き詰めれば人がより良く生きるための問いにつながっています。
「人間は人間に一番興味がある」という理念は、AI時代を迎えた今も変わることはありません。「人を編集するビジネス誌」として、『プレジデント』はこれからも、人間が抱える本質的な問いに寄り添い、読者一人ひとりが自分自身の答えを考えるきっかけを提供し続けていきます。
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