フォーカスABCメディア
女性のあしたをもっと元気に!
創刊40周年『リビングかごしま』、20周年『リビングきりしま』
(南日本リビング新聞社)
鹿児島初のフリーペーパーとして創刊し、昨年40周年を迎えた『リビングかごしま』。鹿児島市と周辺エリアの家庭に毎週旬の情報を届け、読者に親しまれています。創刊当時10万部でスタートした部数は、その人気に支えられ、現在27万部を超えます。また、県内第2の都市霧島市を中心に4万部を配布する『リビングきりしま』も、今年で創刊20周年を迎えました。
ネット全盛の時代に紙メディアが愛され続ける秘訣は何か?
両紙を発行する南日本リビング新聞社メディア営業部編集担当チーフ・道地(どうち)千亜美氏に、お話をうかがいました。(取材:2023年6月)
-貴紙の特徴を教えてください。
鹿児島で暮らす女性のため、衣・食・住を基本としながら、レジャーや教育、医療といった暮らしに密着した役立つ情報を毎週お届けしています。「女性のあしたをもっと元気に!」との思いで、40年間新聞を発行してきました。この思いは今も変わりません。
創刊当初フリーペーパーが「海の物とも山の物ともつかぬ」と言われる中、1軒1軒手配りで、読者へ確実に生活情報を届けることで、信用を積み重ねてきました。紙面でも特集で取り上げた食材がスーパーから消える、紹介した商品が売り切れるといったブームをたびたび起こし、そのレスポンスの高さから認知を広げ、今では、「⼈」と「街」と「企業」をつなぐ媒体として多くの読者から⽀持されるようになりました。その過程で、ABC協会に加盟し発行部数が証明されたことも、信頼につながっています。
-レスポンスの高さの秘訣は何ですか。
リビング新聞という名前には、リビングにいつもある新聞でありたいという願いが込められているのですが、そのためには、読者の手元に届かなければなりません。鹿児島市内においてエリアカバー率90%以上という配布組織の「媒介力」が、レスポンスの高さを支える基盤となっています。当社は自社による配布組織で、現在1200のエリアを約900人で配布。そのパワフルな機動力に加えて、配布の正確さ、細やかさを評価いただき、自治体等の広報紙関係も配布するようになりました。
当社の原点はこの「配布組織づくり」にあり、長年コツコツと配り続けてくださる配布員さんによって支えられています。創刊時から40年配り続けている方が3人もいらっしゃるのはありがたいことです。いいことも悪いこともすぐに意見くださる配布員さんのためにも、自信と誇りを持って配れる媒体であることが大事だと考えています。
-紙面づくりのこだわりを教えてください。
読者にとって役立つか、アクションを起こせるか、共感できるかといった読者目線を大事にしています。そのため、毎号の読者モニターに加え、紙面へのアンケートに寄せられる声を紙面づくりに生かしています。コロナ禍前は、読者組織・リビングサポーターによる座談会や、「飛び出せ編集部」と銘打ち、読者との食事会やワークショップを定期的に開催していました。これらは読者をより近くに感じられる機会なので再開も計画中です。
また、読者が紙面に登場する、投稿欄も充実させています。子どもたちの笑顔溢れる写真が載る「はいっポーズ」のコーナーは、掲載まで半年待ちになるほどの人気で注目度も高く、ベビー用品店からクーポン広告を出稿いただくなど、クライアントからも好評です。
-ネットを使った情報発信も充実していますね。 Webメディアの「リビングかごしまWeb」では、地元のグルメやお出かけ、イベント情報などを毎日発信しています。鹿児島県内に暮らす読者ブロガー19人が、県全域をカバーし、「地域特派員」として活躍中です。
紙面とWebを連動させた企画も展開しています。そのひとつが、全国43エリアのリビング新聞のネットワークを活用したリレーコラムで、各社の編集部員が地元のオススメの場所・店・味を紹介しています。当社では4月に、大隅地方の女性ブルワーによる、地元産フルーツを使ったクラフトビールを紹介しました。Webでは女性ブルワーの素顔も紹介し、全国から注文や問い合わせをいただくなどレスポンスがありました。リビング新聞が全国で展開しているおかげで、鹿児島県外とつながることができるネットワークの記事は、読者とクライアント双方に喜ばれています。
-女性応援の取り組みを教えてください。
〝⼥性が輝くまちづくり〟を⽬指し、⼥性ならではのアイデアや視点で起業・社会貢献する⼥性を表彰する「かごしまキラリ⼥性⼤賞」を主催しています。⿅児島でも⼥性が活躍しやすい機運を⾼めたいと14年にスタートし、今年で10回⽬の開催となります。昨年は52件のエントリーがあり、現役高校生の起業家が大賞を受賞しました。また、先程ご紹介したクラフトビールの女性ブルワーも、受賞者のひとりです。情熱溢れる⼥性たちの活動を多くの⼈に知ってもらえるよう、紙面だけでなくイベントなども通じて応援し続けています。
-御社の女性社員も、社内で応援されていますか。
女性をターゲットにした新聞をつくっているので、もちろん女性に優しい会社ですよ(笑)。改めて考えてみると、私たち社員自身が読者そのものであり、生活者目線で感じたことを気兼ねなく言える社風があると感じます。そんな中から意見が出され実現したのが保育園事業です。
待機児童問題が深刻化していた18年、当社の社員も保育園に入れず、育休復帰できないという状況があり、働くママ・パパを応援しようと、企業主導型保育園を開園しました。
⼦育て世代はまさにリビング新聞のメインターゲットであり、紙⾯づくりにも良い効果を生み出しています。特に、保育園で配られる「園長だより」にヒントを得た、園長先生の⼦育てメッセージコーナーをはじめ、栄養⼠によるレシピ紹介など、取材協力で連携した紙面が読者の人気を得ています。
-読者との接点も広がっていますね。 コロナ禍を経て、大規模なイベントも復活しました。当社の代名詞ともいえる「かごしまマンモスフリマ」は、2⽇間で約500ブース、⼀般の出店者による南九州エリア最⼤級のイベントとして08年から続いています。今年は4年ぶりの開催となり、正直集客できるのか不安もありましたが、2⽇間で約6万⼈動員できました。⽬の前に桜島と錦江湾が広がる絶好のロケーションの中、多くの読者とリアルにつながる場となり、久々のにぎわいを楽しみました。
また、カルチャー教室では、大人のみならず子どもを対象にした講座も多数展開しており、リビング新聞のファン層拡大にもつながっています。他にも新規事業として、南九州市から指定管理者に選ばれ、温泉施設の管理運営を昨年から行っています。既存事業との相乗効果に私たちも期待を寄せています。
-今後の抱負をお聞かせください。
女性を応援することを起点としながら、各事業を通して、鹿児島の皆さんの役に立つ新聞でありたいと思います。⿅児島初のフリーペーパーとして40年。デジタル化が進む中だからこそ、紙や配布組織というアナログの⼒を活⽤しつつメディアを融合させ、常に新しい層のファンを取り込むためにチャレンジし続けています。これからも「⼈」と「街」と「企業」をつなぐ架け橋として、もっともっと⿅児島を盛り上げていきたいですね。
【媒体概要】
『リビングかごしま』
創刊年月:1982年12月
配布エリア:鹿児島市、いちき串木野市、薩摩川内市、日置市、姶良市
発行周期:週刊(毎週土曜日)
判型:タブロイド
『リビングきりしま』
創刊年月:2003年4月
配布エリア:霧島市、姶良市(旧 加治木町)
発行周期:月2回刊(第2・第4土曜日)
判型:タブロイド
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