会報『JABC』2009/3・4

事業計画と収支予算

-第184回理事会-

第184回理事会は、2月19日、東京會舘・エメラルドルームで開催、理事37人、監事3人が出席した。

議事録署名人を選任後、会員代表者の変更にともない理事1人を補欠選任した。続いて、会員の入会承認について諮り、2社の新入会が決定した。また、平成21年度事業計画・同収支予算について審議、全員異議なく原案通り決定した。

<平成21年度事業計画>

1. 公査対象紙誌の公査を計画どおり実施し、ABCデータの信頼性の向上に努力する。
2. デジタル雑誌公査への対応策の成案を期す。
3. 雑誌の参加状況は近年活況を呈しているが、この傾向を維持するよう努める。
4. 漸減傾向にある会員数回復に努める。
5. ウェブによる部数データ提供システム『JABC‐DB』のさらなる整備を図る。
6. ウェブ公査について、アジア太平洋ABC協会(APABC)と共同して、具体化を図る。
7. 会報『JABC』やホームページおよび「ABCフォーラム」、PR広告等を通じてABC事業の啓発を図る。

<平成21年度収支予算>
平成21年度の収入合計は、前期繰越収支差額1億1千万円を含めて、総額で4億8,600万円、前年度比100万円、2.1%減収になる。主な原因は、新聞・雑誌部数の減少、広告主・広告会社の経費見直しによる退会等による。

今年の活動について討議

-第109回 開発委員会-

第109回開発委員会は2月20日、協会会議室で開催、委員12人が出席した。

事務局から「来年度の活動方針について、昨年度に引き続き、主たる活動を雑誌の参加促進に置く。その他、広告業界のニーズを取材し、状況に応じて新規事業について検討する」との活動方針が理事会で承認されたことを報告した。
仲小路委員長から「雑誌の参加促進は基本方針として変わらないが、昨年ほどの頻度の活動は必要ないと考えている。事務局は通常どおりの業務を推進し、委員は必要に応じて対応する。また、前回委員会で、専門紙誌についての提案があったが、活動方針とするには至らなかった」との説明があった。

最後に、事務局から「ウェブ公査については、具体的な情報を収集し、あらためて報告する」と説明し、了承された。

経済評論家・勝間和代氏が講演

2009ABC東京フォーラムは、3月5日、プレスセンターホールで開催、320人が出席した。

岡本専務理事が、最近のABC業務と平成21年度の事業計画などについて報告した後、経済評論家・公認会計士の勝間和代氏が、「売る立場としての『読書進化論』」をテーマに講演した。
講演では、経営コンサルタントの視点からみた出版界の現状を分析、売るための仮説作りから、マス・メディアや公式ブログによるパブリシティを重視した自身のマーケティングまで、勝間式の実践法を紹介した。
講演終了後、今後のマス広告のあり方や書籍のプロモーションなどについて、活発な質疑応答がなされた。

講演要旨は次号に掲載予定。

雑誌発行社のクロスメディア展開

複数のメディアを組み合わせてマーケティングに相乗効果をもたらす手法、クロスメディア。雑誌発行社はどのように対応しているのだろうか。角川マーケティングと小学館の2社にお話を伺った。

角川マーケティングの取り組み

『walkerplus』でウェブファースト

角川マーケティングは、昨年7月、自社運営のウェブサイト『walkerplus』でウェブファーストを宣言した。ウェブファーストとは最新記事を雑誌媒体に先行してウェブサイトに掲載するというもの。情報誌として日本初の取り組みとなる。

(株)角川マーケティング

常務取締役
岩 崎 孝 司 氏

なぜウェブファーストをはじめたのですか?

若い人たちと接触する機会に実感したことですが、彼らはほとんどの情報取得を、テレビやケータイ・パソコンで済ませてしまう。彼らの生活の中に雑誌が存在しないことを痛感しました。ウェブファーストは、「いかに彼らに雑誌に接触してもらうか」を一番大きな眼目として始めました。提供しているのは 『TokyoWalker』のニュースですが、彼らにとっては紙媒体でなくともいいと考えています。ウェブ検索からの接触でも、 「『TokyoWalker』は、こうした情報を発信しているブランドなんだ」と認識してもらえればいいということですね。

ウェブと雑誌の連動をどのように考えていますか?

読者・ユーザーは、自らが最も使いやすい形で媒体を使い分けています。望むようには動いてくれません。彼らの求めに対して正確に応えることこそが大切だと思います。以前、情報の使われ方を時系列でとらえようとして、「最初は紙、次はウェブ、最後はケータイ」と考えました。しかし、最初からケータイでいい人は 最後までケータイで済ませてしまう。時系列的なとらえ方は必ずしもあてはまりません。私たちが望む連動は、読者・ユーザーにとってはメリットでないことも 多い。軽視するわけではないのですが、あまり重点を置いていないということです。
「ウェブだけで十分」という人もいれば「より深く知りたい」という人もいます。しかし、『walkerplus』以外にも様々な情報源が存在している状況で、私たちは『TokyoWalker』というブランドの存在感を強めていくことを目指しています。

ウェブファーストは本誌の売上に影響しませんか?

10年前なら懸念するところですが、ウェブで存在感をアピールすることが本誌の接触増加につながるというプラス効果のほうがむしろ大きいと思います。また、ウェブ上のレスポンスを誌面作りに反映させることが、編集の質的向上にむすびつき、実売部数の底上げにもなっています。

守るべきは、『TokyoWalker』という雑誌なのか、ブランドなのか。私たちはブランドと判断しました。当初は迷いもありましたが、望まずとも世の中は変わってしまった。選ぶのは読者・ユーザーです。私たちは、どんな媒体であれ『TokyoWalker』というブランドで、最適な形で情報を提供する仕 組みを作ろう、選ばれるブランドを大切にしようと考えました。

ウェブを生かした広告にはどのようなものがありますか?

最も効果があるのは、コンテンツ・マッチ型です。記事内容と広告がつながると反響が大きい。ユーザーにとってもプラスの広告情報となる。効果も明確になるので、クライアントにも喜ばれ、皆さんがいい形で収まります。

また、ウェブではユーザーの会員化を進めています。家庭向けの『FamilyWalker』では、「ママ隊」として、主婦読者の方たちを組織化しています。カーナビの広告企画では、助手席から見た使い勝手について「ママ隊」の声をウェブで募集して、アンケートを誌面に反映し、その結果をウェブに掲載しまし た。クライアントにも喜ばれ、広告ではあってもそれ自体がコンテンツとして読めるものとなった。クライアントをも巻き込んだ双方向のコミュニケーションが うまくとれた事例です。

将来の雑誌はどのようになると考えていますか?

非常に難しい質問ですね。情報誌というカテゴリーに限定して言えば、雑誌とは情報の集まりであり、その編集の成果です。情報はどんどん細分化しています。記事が分断していって、それが人と結びつき、その先に広告がある。これは社会的な変化で、流れはもう止まらない。
情報は人に応じてカスタマイズされていく。編集は「こういうのが欲しい」と求められる。情報誌における編集というものの位置は相対的には下がって、いかに読者・ユーザーなりに情報がカスタマイズされるかが重要とならざるをえなくなります。
媒体特性として紙の良さはあるし、信頼性もある。最終的には、発行社と雑誌が読者とつながっていければ非常に強い。必要とされ、その価値も高くなっていく。コンテンツと情報のカスタマイズにおいて、読者・ユーザーと直接つながっていれば、新しいビジネスフィールドが開けます。また、そこに行き着けなければ将 来は厳しいでしょうね。行き着けた時には必ずしも紙媒体でなくてもいい。チャンスはあるし良さもある。そこを目指したいと考えています。

小学館の取り組み

米国・グラムメディアの日本法人と提携

昨年11月、小学館はグラムメディア・ジャパンとの提携を発表した。グラムメディアは、米国最大の女性向け垂直型アドネットワークを運営しており、その日本展開に併せたもの。小学館は、メディアサイトとしてもグラムメディア・ジャパンのアドネットワークに参加している。

(株)小学館

広告局 シニアマネージャー
宮 武 邦 雄 氏

グラムメディアのアドネットワークへ参加した経緯は?

ネット広告が伸びているといっても、一部の大手ポータルだけのことと思います。一方、紙媒体は広告も含め売り上げが減少してきている。各出版社はネットへの取り組みを模索していますが、そのほとんどは対応が遅れ、上手くいっていないのが現状です。ネットの場合はユーザーを集めるところから開発しなければなりません。

ユーザーはネットをメディアではなく、情報検索やコミュニケーションのツールとしてとらえています。だから大手ポータルにユーザーが集中してしまう。出版社のサイトは孤立し、大海の離れ小島のようです。単独でこの状況を打開するのは難しい。
グラムメディアの垂直型アドネットワークは、同じ傾向を持つユーザーが集まるサイトをネットワーク化して、ユーザーに参加サイト間の回流を促す仕組みです。それが日本で展開することになりました。

本来は、出版社どうしでゆるやかにネットワークが形成されればよいのですが、まだそこまでは進んでいません。そこで、まずはグラムに参加してみよう、アドネットワークのノウハウを学ぼうと判断しました。

当社には125のサイトがありますが、それらをネットワーク化していく構想もあり、この経験が参考になります。また、他社と共同でサイトのネットワークを作る際にもモデルケースになると考えています。

提携と同時に資本参加もしていますね。

大手ポータルが大型スーパーマーケットだとすれば、今回のアドネットワークは銀座に専門店街を作るようなものです。お客さんが通うようになれば、出店しているお店も潤う。だから街路を造る。道路の整備も必要だし、街路樹も必要です。その費用を少し負担しましょう、ということで資本参加が決まりました。グラムの成功が、最終的には当社サイトのユーザー増へとむすびつきます。

誌面とウェブとを連動した広告企画はありますか?

誌面とウェブが連動する企画はこれまでにもありましたが、今後はグラムからユーザーを誘導するという企画が出てきます。本誌とサイト、そしてグラムメディアのアドネットワークを併せた提案です。

ユーザーが集まる仕組みができれば商品として非常に強いものとなる。サイトも独立した媒体として認知され、共に売れるようになると思います。

広告の売り方はどのように変化していますか?

クロスメディアと言われて久しくなりました。雑誌広告も、インターネットやケータイ、イベントや中吊りといった周辺をも含めた立体的な企画にしないと、なかなか採用されません。

これまで、雑誌広告はブランディングを中心として売っていました。しかし、広告費がだんだんと販売促進費的に位置づけられるようになって、費用対効果の要求 が強くなっています。そこで、ネットとの組み合わせによるリーチの拡大、動画付加やスペース増による情報量の拡大を提案しています。マーケティングデータ の効率的な収集や、ブログの活用など、本誌のみではできない補完的なことが可能です。今後も要求は厳しくなっていくことが予想されますので、こうした手法 がますます必要になると思います。

サイトの充実が本誌の売上に影響するおそれはありませんか?

もちろんあります。しかし、ネットに注力しなくても、現代の若い人たちがパソコンの前に座って雑誌を読まない傾向にあることは、もう変えようがありません。そうであれば、雑誌がダメになっていくのを座視するのではなく、ネットとの組み合わせを模索せざるをえません。

また、出版社の役割はネット上にもあります。コンテンツを作り出す力、取材力や編集力が生かせるのはネットでも同様です。CGM(ブログやSNSなど、消費 者が内容を生成するメディア)が盛んですが、バラバラに発信されているものを編集者が見て、才能がある人を発掘して育てれば、その人はさらに上の段階にいける。こうした場面で編集の人間がお役に立てます。

今後の広告および販売の展開は?

会社としての方向は模索中ですが、ネットを充実させていくという点では大方の意見が一致しています。

これまで限られた社内の人的資源は雑誌中心に配置されてきました。出版社というものは、トップダウン型というより、各編集部から様々な企画が持ち上がるボトムアップ型の組織です。全社的方向性を決めるような意思決定には不向きで、ネット事業というものに馴染みにくいのですが、会社も新しい環境に適応した組織になっていくと思います。

印刷部数公査の可能性について

-第89回 雑誌業務推進委員会-

3-4_insatsubutsu2第89回雑誌業務推進委員会は1月27日、協会会議室で開催、委員9人が出席した。

雑 誌印刷部数公査の可能性について、意見交換の場として、昨年6月に日本雑誌協会・広告委員会と合同で設置された、雑誌印刷部数公査合同委員会について、大 塚委員長(前講談社・取締役)が「合同委員会は毎月1回のペースで過去3回開催したが、これまでの中間報告を行いたい。雑誌印刷部数公査の可能性について 幅広く意見を集めているなかで、委員の皆さまからも率直なご意見を伺いたい」と本委員会開催の趣旨を説明し、各委員の意見を求めた。

委員からは、「データが実売部数と印刷部数の2つあって、クライアントが自由に分析できるのは良い」「ABC協会に一本化することで、結果実売部数公査誌が 増えるなら良いことだ」「ABC協会への移行には賛成だが、今結論を出すべきなのか?それよりも雑誌協会の広告データを充実させる議論に傾注すべきである」などさまざまな意見が出された。

大塚委員長は「部数問題をABC協会に移行する目的は、雑誌協会の仕事を雑誌の価値を示すデータづくりにシフトさせるためである。雑誌協会内の意見統一は難しいが、様々な意見を集めながら丁寧に進めていきたい」と意見を述べた。

第5回デジタル雑誌公査小委員会を開催

第5回デジタル雑誌公査小委員会は、2月5日、協会会議室で開催、委員7人が出席した。

08年11月に開催されたアジア太平洋デジタル雑誌国際会議(FIPP)について、大会事務局の担当委員を努めた宮武委員(小学館)から報告があり、その後、今後の課題・研究テーマについて意見交換が行われた。

委員から「タイアップ広告が増えているので、広告会社がコンテンツを作る段階からかかわる可能性も出始めている。また、以前と比べると、紙とデジタルの連携が増えてきた」「デジタル事業は収益をあげるまでに時間はかかるが、デジタルを含めた企画への要望も多く、出版社全体で取り組まなければならない」「デジ タル事業単体で収益をあげるのは難しい。動画配信が始まるなど、求められるインフラも刻々と変化するため、投資を続けなければならない」などさまざまな意見が出された。
大塚委員長は「8月の委員会までに研究対象としたいテーマがあれば、事務局に寄せていただきたい」と提案した。

新入会のお知らせ

新聞発行社 1社

  • (株)朝日学生新聞社
    『朝日小学生新聞』
    『朝日中学生ウィークリー』
    専務取締役 石山 貴志夫
    〒104-8433 東京都中央区築地3-5-4 中川築地ビル7階

雑誌発行社 1社

  • (株)致知出版社
    『 致 知 』
    代表取締役 藤尾 秀明
    〒107-0062 港区南青山6-1-23